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企画展「見えないこころ」

日本の作り手の作品にはちょっと見たところではわからない、或いは気づかない細工や工夫が凝らされていることが多く、実際に使ってみて初めて気づくことも少なくありません。
本企画展では、ちょっと見ただけではわからない作り手のこだわりや工夫がある作品を集め、伝統工芸品を今までとは違う角度から見てもらう事を意図しています。
26人の様々な分野の作り手の、見ただけでは気づかない工夫や細工を施した作品を、その「見えない部分」について自らの言葉で語って頂きました。
そんなこだわりと工夫を作り手の言葉と実物をご覧になりながら、ゆっくりとお楽しみ下さい。

<出展者>(あいうえお順・敬称略)

浅野恵理子、池田京史、太田正伸、河上真琴、木下富雄、金 至児、木村知幸、芝山佳範、
新村秀人、高橋由貴子、武部正典、田上幸輝、タナカユミ、中平のり子、中平美彦、
名雪園代、布下翔碁、久恒俊治、引持玉緒、松田苑子、宮﨑岳志、村田百川、
本江和美、森内瑞恵、森本悦子、由水煌人(26名)

<作品紹介>

今回展示される作品のいくつかを作り手が語る工夫ともに紹介します。

久恒俊治
この作品は、明かりを点けると内側から立山連峰の山並みが浮き上がるよう に工夫した陰陽、2つの雰囲気を楽しむことが出来る行燈です。
能登内浦から富山方面の遠望を薄い桧の板に友禅染めしました。
外側は、多色で独自に考案した友禅染めの技法を用いて柄を描き、内側には1mm厚のアクリル板を補強もかねて貼り、その上に白で立山連峰を描いています。
こうする事により、明かりを点けると立山連峰の峰々がシルエットで眺められるのです。
桧の白木に描いてありますので、明かりを点け、板が温まるとほのかに桧木の香りがします。
板は、付け替えることが出来、本体があれば多様な模様を楽しむことが出来ます。
池田京史
木は生き物独特の温かさを持っています。私はこの温もりが感じられるようなクッション性のあるやさしい椅子を作りたいと考えました。
座面に弾力性を持たせるために金属製のバネは使わずに座面裏側に竹を仕込みました。
また、構造がかなり特殊で不安定なため、座面真下の支柱に独自の継手を用いるなど108もの部材を組み合わせることで十分な強度を得ることができました。
さらに、座面の中央部と辺縁部との接合で一ヶ所のみ"蟻"という台形型の接合方法を用いる(理由はどうぞお考えください)、作業工程は鉋、鑿、玄能などの日本伝統の木工具を用いてほぼ全て手作業で行っている、といった細部の工夫や技をよく見ていただけると嬉しく思います。
由水煌人
5年前にお茶会の席で、半東さんが正客にお茶を運んだ際に着物の後ろの裾がめくれていた。
偶然かと思い、次客の時にも観察しているとやはり裾がめくれる。
また別の機会に、京都駅で階段を上る着物姿の女性を何とはなしに見ていたら上る度に着物の後ろの裾がひゅっひゅっとめくれていた。
これをヒントにして、後ろの裾の裏にワンポイントの柄を入れるようになった。
それ以来現在まで、自分の作る着物にはすべてこのワンポイントを入れている。
お客様からは「ニクイ工夫」「色気を感じる」と好評である。
木村知幸
スプーンやフォークをテーブルに直接置いても先がつかないようになっています。
特にカレーやアイスクリームなど汚れるものは気をつかいますので、自分があったらいいなと思ったのが、始まりです。
ただ、先が浮いているだけなら、見た目に違和感があるので、持った時の握りやすさ、すくう時の角度、接地する位置や重量バランスなどを考慮して、一見してわからないような形になっているところが、作り手の粋だと勝手に思っています。

2015.05.25 Traditional Art & Craft of Ishikawa