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2012年

夢見る鉄の部屋

会   期:
2012年6月5日(火)ー7月29日(日)
展 示 室:
2F第3展示室
作 品 数:
約15点
家 具 提 供:
TORi


小松市在住の鉄工芸作家、河上知明・真琴さんの作品のうち、主に燭台を中心に紹介する企画展です。直線的で重たいイメージの「鉄」という素材をいかに軽やかに柔らかいフォルムの作品に仕上げているか、また無機的なものにどのように生命力を吹き込んでいるかご覧下さい。

尚、今回の企画展では、展示台を全く使わずに、作品を普段使われる空間の中で見て 頂きます。50~60年代北欧のヴィンテージ家具が作りだす空間の中で河上さんの鉄の 作品をゆっくりとお楽しみ下さい。

<作者からのメッセージ>

古来より、日本は木と土と紙の文化で木工、陶芸、和紙による工芸文化が発達しま した。一方、西洋では石と鉄による文化で石による彫刻や鉄工芸や鉄の装飾文化が 発展してきました。

私達、あとりえ三昧亭では、西洋の鍛鉄工芸をベースにしながらも、現代の日本の 生活空間にフィットした鉄工芸を追求した創作活動をしています。特に「灯りと響 き」をテーマにした燭台や照明、創作打楽器(三昧琴)に力を入れて創作し、全国 のギャラリーなどで発表しています。

今回の展示では、私たちの作品としては大きめの作品を選抜して展示させていただ きました。西洋の技法と日本人の感性が融合した新しい鉄工芸の姿を楽しんでいた だけたら幸いです。

<河上知明さんプロフィール>

1956年
 石川県小松市生まれ
1979年
 「鉄を鎚つ」というプリミティブな行為に魅かれ、京都にて鍛冶の世界に入る
1986年
 よし与工房(京都)、工房はたの(白山市)を経て独立し、あとりえ三昧亭を設立。
 以後、「灯りと響き」をテーマに作品を制作し、発表している。


<河上真琴さんプロフィール>

1989年
 石川県小松市生まれ
2011年
 金沢美術工芸大学美術工芸学部デザイン科卒業(製品デザイン専攻)
 現在、あとりえ三昧亭にて作品制作を行っている。
 
 

   
◆ TORi紹介
金沢市内にショップを持つ家具ショップ。北欧デンマーク、フィンランドより直接買 い付けた50~60年代のヴィンテージ家具や工芸品を中心に、欧州・アジア諸国と国 籍年代を問わず独自の視点でセレクトした心地よくも一癖ある生活道具を取り揃えている。


◆ 併催イベント
今回の企画展では、関連プログラムとして2つのワークショップを行う。どちらもご く少人数で、本格的な制作体験をして頂く。参加に年齢などの制限はないが、本漆を 使ったり、鍛冶屋の仕事を体験するので、内容をよく理解した上での参加をお願いしたい。



鍛冶屋ワークショップ「鉄工芸に挑もう!」

あとりえ三昧亭の鍛冶場で行うワークショップで、河上知明さん・真琴さん指導の もと、燭台作り(「唐草燭台」)を学ぶ本格的な鍛冶屋ワークショップである。

日  時:
6月20日(水) 10:00〜15:00
場  所:
あとりえ三昧亭(小松市糸町3-13)当日は現地集合。
講  師:
河上知明さん、真琴さん
体験内容:
①焼く ②打つ ③唐草の曲げ ④蜜蝋仕上げ
(溶接については、河上さんが行う)
定  員:
2名
参 加 費:
¥7,000(材料費)
唐草燭台サイズ:
 台の部分は直径7cm,高さ約15.5cm
持 ち 物:
弁当(昼食)
注意事項:
①火を使う作業です。
  講師の指示に従って作業をして下さい。
 ②火の粉が飛びますので、服装は上下とも木綿のものでお願いします。
  化繊(混紡も含む)は不可です。
  靴はスニーカーなどの動きやすいものにして下さい。
  革靴やサンダルは 不可です。
 ③講師は注意して参加者を指導しますが、自己責任での作業ですので、
  その旨ご理解の上、ご参加ください。
予  約:
6月18日(月)までに工芸館へメールか電話にてお申し込み下さい。
 定員になり次第締め切らせて頂きます。
(TEL:076-262-2020、メール:info@ishikawa-densankan.jp
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蒔絵ワークショップ「小皿に蒔絵を施す唐草小皿に挑戦!」

河上知明さんが作った鉄の小皿に蒔絵を施すワークショップ。今回は本格的な蒔絵を 体験して頂くという趣旨で、本漆と本金箔を使用して唐草小皿を作る。本漆を使用す るため、漆にかぶれる方の参加はご遠慮頂きたい。

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日時: 7月4日(水) 13:30〜16:00
場所: 工芸館1F
講師: 河上美津子さん(漆芸家)
定員: 3名
参加費: ¥6,250(材料費)
体験内容: ① 色漆を作る ② 漆を濾す ③ 金箔を貼る
唐草小皿サイズ: 巾 約7.5cm、長さ 約15cm
予約: 7月3日(金)までに工芸館へメールか電話にてお申し込み下さい。
定員になり次第締め切らせて頂きます。
(TEL: 076-262-2020、メール: info@ishikawa-densankan.jp)


2012.07.26 Traditional Art & Craft of Ishikawa

ろうそく・あかり

会 期:
 2012年8月1日(火)- 9月30日(日)
展示室:
 1F エントランスホール展示スペース
作品数:
 ろうそく 約330本、燭台 約60点


「和ろうそくと洋ろうそくの違いは何ですか。」ときかれたら、皆さんは何と答えるでしょうか。
原料も違えば、製法も違うこれら2つには大きな違いがあります。
和ろうそくには、洋ろうそくのような複雑な形のものはありませんよね。
火をつけると炎の色や形状も違いますよね。芯の見かけも全然違いますよね。
触った時の触感も違いますよね。
いったいこれらの違いはどこから来るのでしょう。そんな様々な和ろうそくについての疑問にお答えするのがこの企画展です!

この企画展では、ハゼの蝋、椰子の蝋、菜種の蝋、米ぬかの蝋の4種についてその実物を見て頂くとともに、それぞれの特徴についても紹介します。また、様々なシーンで使われている和ろうそくの数々も御覧に入れます。
この夏はぜひ工芸館で「和ろうそく」を再発見して下さい。

<七尾和ろうそくの歴史>
 和ろうそくの歴史は古く、奈良時代に中国より「ろうそく」が輸入された時まで遡ることが出来ます。江戸時代に、はぜの木(ウルシ科)の輸入により広く栽培が始まると、仏教の普及と共に仏壇の灯明として広く用いられるようになりました。

1650年頃、七尾に「蝋燭座(ろうそくざ)」が開かれました。「座」とは現代における同業者組合のようなものでした。当時、物資の運搬には主に船が使われていました。はぜの木から採る原料の蝋(木蝋)は四国や九州より、芯に使われる和紙は石見(いわみ)より船で運ばれてきたようです。「北前船」の活躍の舞台でした。

七尾は湾の奥にあり、日本海の荒波から守ってくれるので、物資のあげおろしには最適でした。北前船の寄港地として、天然の良港である七尾港が栄えたため、日本中から原料をとりよせ、出来上がった和ろうそくを全国各地に運ぶことができました。このような背景から、七尾でろうそくの生産が盛んになっていったのでした。(高澤 久)

○協力:
本企画展では、七尾和ろうそくの製造・販売に携わっている(株)高澤商店に全面的な協力をいただきました。
その他にも、以下の方々に展示品の提供をお願いしました。有難うございました。
岡田蝋燭店(はぜ蝋燭の提供)
川上知明さん(燭台の提供)
大島東太郎商店(燭台の提供)


◆ 併催イベント
今回の企画展では、関連プログラムとして2つのワークショップを行います。
特に、和ろうそくの明るさを左右する大切な「芯」作りのワークショップは、他では体験できない和ろうそくの芯を和紙から自分で制作するユニークなワークショップです。

和ろうそくを学ぼう・その1「芯作りに挑戦!」ワークショップ


和ろうそくの作り方を1から学ぶワークショップです。あまり知られていませんが、和ろうそくの光の質を決めるのは「芯」です。このワークショップでは和ろうそくにとって一番大切な和紙の芯作りを実際に行います。参加者が作った芯は、高澤ろうそくの職人さんがそれぞれ和ろうそくに仕上げてお届けします。

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芯を作っているところ


日 時:
第1回目 8月22日(水) 13:30-14:30 / 15:30-16:30
第2回目 9月19日(水) 13:30-14:30 / 15:30-16:30
場 所:
工芸館1F
内 容:
① 和ろうそくとは? 洋ろうそくとの違いは?
② 和ろうそくの作り方は?
③ 芯を作る
講 師:
高澤行江さん
定 員:
各回10名
料 金:
¥1000(材料費、お届け送料)
予 約:
1回目は8月21日(火)、2回目は9月18日(火)までに工芸館にメールか電話でお申し込み下さい。定員になり次第締め切らせて頂きます。
(TEL: 076-262-2020、メール: info@ishikawa-densankan.jp)
お渡し:
参加者が作った芯は職人さんが和ろうそくにし、後日宅急便でお届けいたします。尚、完成品のサイズは、高さ約15cm、上部の直径約3cmとなり ます。


◆ 和ろうそくを学ぼう・その2「絵ろうそく作りに挑戦!」ワークショップ


和ろうそくにオリジナルのデザインを施し、自分だけの絵ろうそくを作ります。アクリル絵の具を用いて、和ろうそくをキャンバスに絵を描きますが、思ったより難しいかもしれません。出来上がったろうそくは胴を特別な日の灯りとしてお使い下さい。

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日 時:
第1回目 8月22日(水) 13:30-14:30 / 15:30-16:30
第2回目 9月19日(水) 13:30-14:30 / 15:30-16:30
場 所:
工芸館1F
内 容:
① 和ろうそくとは? 洋ろうそくとの違いは?(上記その1と共通)
② 和ろうそくの作り方は?(上記その1と共通)
③ 和ろうそくの絵付け
講 師:
高澤行江さん
定 員:
各回10名
料 金:
¥1000(材料費)
予 約:
1回目は8月21日(火)、2回目は9月18日(火)までに工芸館にメールか電話でお申し込み下さい。定員になり次第締め切らせて頂きます。
(TEL: 076-262-2020、メール: info@ishikawa-densankan.jp)


2012.09.14 Traditional Art & Craft of Ishikawa

ろくろ挽きの年輪 ー 山中漆器加飾挽きの世界 ー

会 期:
 2012年8月2日(木)- 9月30日(日)
展示室:
 2F 第4展示室
作品数:
 約70点
共 催:
 財団法人山中漆器産業技術センター


漆器というと「漆塗り」のイメージが強いのではないでしょうか。
しかしながら、山中漆器は、16世紀末に越前から移住した木地師がその技術を伝えたことが始まりと言われており、初期のころは漆をぬらずに山中温泉に湯治に来る旅人達にお土産ものとして売られていました。この木地挽きの技術はその後長い年月をかけて進歩し、洗練され、今に受け継がれてきました。
この企画展では山中の木地挽きの中でも、特に加飾挽きに焦点をあてています。加飾挽きには様々な種類があり、その数はおよそ40種と言われていますが、その中で、今回は代表的な22種を取り上げ、イラストを使って分かりやすく説明し、且つ、それぞれの加飾挽きに用いる道具と共に紹介します。また、実際の作品には複数の技法が使われているので、そのような具体例を実際の作品で見て頂きます。

<加飾挽きについて>
加飾挽きとは木地を轆轤(轆轤)に固定して、回転させながら削ることによってつくられる様々な模様または技法のことです。大まかに分けると環状と渦状の他に飛状(とびじょう)があり、それぞれ道具と加工方法が大きく異なります。加えて、これらの道具と加工方法を組み合わせることによって無限の模様を生み出すことができます。この後の漆をぬる工程でカンナの切れ味が如実に表れるので、加飾を入れている間は途中で研がずに最後まで仕上げる技術と集中力が求められます。

環状: 
回転する木地の外側から中心に向かって(あるいはその逆)一本ずつ等間隔に入れていく。
渦状: 
回転する木地の中心から外側に向かって一気に模様をつける。カンナを運ぶ速度と、轆轤の回転速度との間合いで模様が大きく変わる。
飛状: 
弾性のあるカンナをつくり、そのバネを利用しては戦場の連続模様をつける。回数を重ねることで密度の高い模様にすることが出来る。


<メッセージ>

欧米諸国に比べ、日本は社会文明の成熟するまでに時間がかかりました。しかしその間に自然との関連と調和を成熟させてきました。それは自然素材を精神性と共に巧みに利用した工芸品の中に見られます。

山中漆器は、ここ金沢から車で南に1時間ほどいった福井県境にある山中温泉街とともに発展してきた漆器の産地です。木と樹液(うるし)からつくられる漆器は、全国に23の産地があり、日本を代表する工芸品です。その中において山中漆器は最も優れた挽物木地を特徴としています。このたびご紹介する加飾挽きは、挽物の製作過程で行う技法のひとつであり、山中漆器を代表するものです。

美しく挽いた木地は塗りに入ってからも仕上がりに違いが出ます。職人は木地師の誇りをかけて、回転する木地に全神経を集中し、刃を立てて挽く一本にすべてを注ぎ込みます。挽物木地師が付ける装飾模様は、それぞれが刃物から独自の工夫をして作っているため独特の個性があります。加飾挽きには厳密なものから自由でのびやかなものまで大別しておよそ40種あると言われていますが、今回はその中から代表的なものについてご紹介します。何卒ご高覧賜りますようご案内申し上げます。                 

(財)山中漆器産業技術センター所長理事
    山中漆器木地挽物技術保存会会長
               川北良造



2012.09.14 Traditional Art & Craft of Ishikawa